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      「妊娠・出産にはお金がかかる!」と、漠然とした不安を感じている方もいると思います。

      その不安を取り除くためには必要なお金の目安や、費用を抑える方法を知ることがポイント。

      ママノワでは、妊娠・出産を経験したママに、出産費用に関するアンケート調査を実施。公的機関の調査とあせて、出産費用の平均金額や各種サポートについて解説します!

      出産費用はいくら必要なのか

      出産費用 いくら

      出産費用に不安を感じている人は、案外多いようです。

      ママノワでは、実際にどれくらいのママたちが出産費用を心配したのか、どれくらいの出産費用が必要だったのか調査しました。

      厚生労働省の資料や、ママたちのアンケートをもとに解説していきましょう。

      出産費用を心配したママは6割超

      出産費用 いくらママたちに出産費用を心配したかどうか質問したところ「かなり心配した」と回答したママが約16%、「少し心配した」と回答したママは約46%でした。つまり、約62%のママが出産費用を心配していたことがわかります。

      妊娠・出産は喜びであると同時に、多くのママたちにとって金銭面での不安を伴うもののようです。

      出産費用平均額

      続いて、出産費用の平均金額を見ていきましょう。

      出産費用厚生労働省の調査によれば、令和4年度の出産費用は全医療施設平均で48.2万円でした。

      出産費用は年々増加傾向にあり、平成24年度では41.7万円だったのに対し、令和4年度は約6.5万円も増加しています。

      ちなみに、ここでいう出産費用には、妊娠期間に必要な妊婦健診費用は含みません。妊婦健診は妊娠初期から分娩まで、少なくとも計14回受けることが推奨されていますが、医療保険は適用外になります。詳しくは後半で解説します。

      参考:厚生労働省「医療保険制度における妊産婦等の支援の現状について」

      ママたちの出産費用

      続いて、ママノワのユーザーが実際に支払った出産費用についてです。

      出産費用 いくらママたちに「出産で病院や産院でかかった費用を教えてください」と質問したところ、30~50万円未満が最も多く約35%。続いて50~80万円未満が約34%でした。

      30万円未満で済んだというママも25%いました。

      この結果と厚生労働省のデータを照らし合わせると、50万円前後がボリュームゾーンと考えられます。

      ちなみに、80万円以上かかったというママもいましたが、それは少数派で約6%程度。恐らく、医療機関と相談のうえ、無痛分娩や個室部屋などを選択し、プラスαのサービスを利用した可能性が高いのでしょう。

      出産費用に差がある理由

      出産費用 いくら

      ここまででご紹介したとおり、出産費用は人によってかかる金額が違います。その差は「出産施設」「出産地域」「分娩方法」によって違ってくるようです。

      それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。

      出産施設の違い

      前述の厚生労働省の調査を見ると、分娩施設が「公的病院」「私的病院」「診療所」のいずれかで、出産費用の平均額が異なりました。

      ●令和4年度の出産費用平均(正常分娩の場合)

      全施設平均 約48.2万円
      公的病院 約46.3万円
      私的病院 約50.6万円
      診療所 約47.9万円

      ※室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の費目を除く出産費用の合計額
      ※厚生労働省「医療保険制度における妊産婦等の支援の現状について」をもとに作成

      その中でも、最も金額が低い公的病院と、最も高い私的病院では、出産費用に約4万円もの差がありました。この要因としては、公的病院と私的病院・診療所では運営母体が違う点が考えられそうです。

      公的病院は、都道府県や市町村など自治体が運営する医療機関です。そのため、医師や看護師の給料、人員配置などに、さまざまな最低基準が設けられています。

      私的病院や診療所でも厚生労働省が定めた基準をクリアする必要がありますが、各医療機関が独自で決められる部分もあります。

      また、公的病院は赤字経営でも税金から賄うことができますが、私的病院や診療所の場合はそれができません。その分、コストが医療費に反映されやすいといえそうです。

      出産地域の違い

      出産地域によっても、以下の通り出産費用に差があるようです。

      ●出産費用平均値(令和4年度)

      全国平均 482,294
      東京都 605,261
      熊本県 361,184

      ※厚生労働省保険局「全施設・正常分娩 都道府県別出産費用 (令和4年度)」をもとに作成
      ※室料差額等を除く

      厚生労働省の調査では、全国平均が482,294万円であるのに対し、最も高い東京都では605,261万円、熊本県では361,184万円でした。その差はなんと約24万円。

      ちなみに出産費用が50万円を超える高水準の地域は以下のとおりです。
      ●出産費用平均値(令和4年度)50万円を超える地域

      東京都 605,261
      神奈川県 550,864
      宮城県 513,681
      茨城県 503,927

       

      逆に、出産費用が安く、30万円台の地域は以下のとおりです。
      ●出産費用平均値(令和4年度)30万円台の地域

      青森県 394,927
      鳥取県 382,584
      熊本県 361,184
      宮崎県 397,518
      沖縄県 374,001

      こうした地域差が生まれる原因としては、人口あたりの出産数や、高齢出産の比率地域の給料水準など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているようです。

      分娩方法の違い

      出産費用は分娩方法の違いや、それに伴う入院日数、検査内容の変動によっても異なります。具体的には、以下のような分娩方法が挙げられます。

      経腟分娩

      【自然分娩】
      自然に陣痛が始まるのを待って、産道を通して膣から赤ちゃんを出産する方法。健康保険は適用されません。

      【無痛分娩】※医療処置あり
      妊娠期間中に事前に相談のうえ、麻酔薬を投与して、陣痛や分娩時の痛みを和らげて出産する方法。さまざまな検査や麻酔薬を利用する分、自然分娩よりも出産費用が10~20万円ほど高くなります。下半身だけに麻酔を行うため、自然分娩と同様に意識を保っていきむことで、赤ちゃんが産道を通るのを助けます。医療保険は適用されません。

      【計画分娩】※医療処置あり
      妊娠期間中に事前に出産する日を相談のうえ決定し、陣痛促進剤などを利用して人工的に陣痛を開始する方法。ただし、なかなか陣痛が始まらない場合もあり、延びた分の入院費用などがかさむ可能性があります。医療保険は適用されません。

      異常分娩

      【吸引分娩】※医療処置あり
      分娩がうまく進まない際に、吸引カップなどの器具を利用して分娩を促進する異常分娩の一つです。医療行為にあたるため、医療保険が適用されます。

      【帝王切開】※医療処置あり
      母体の腹部と膣を手術により帝王切開して赤ちゃんを取り出す方法

      母体と赤ちゃんの状態により、事前に相談のうえ計画的に行われる場合もあれば、経腟分娩中に急きょ帝王切開に変更になる場合もあります。

      手術が必要な医療行為にあたり、健康保険が適用されることで3割の自己負担で済みます。ただし、帝王切開の場合は経腟分娩より出産後の入院日数が長くなるため、その分の入院費用がかかります。

      分娩方法と費用の違い

      このような各種分娩方法の中でも分娩費用だけで比べると、医療保険が適用される帝王切開が最も安く済む方法だといわれています。ただし、その後の入院費用や検査費用を含めると、帝王切開でも自然分娩でも、費用があまり変わらないケースが多いようです。

      また、最も出産費用が高くなるのは、無痛分娩や計画分娩です。医療保険が適用されず、麻酔薬や陣痛促進剤の支払いが加算されるためです。

      ちなみに、自然分娩、無痛分娩、計画分娩は妊婦側の意志で選択可能ですが、異常分娩である吸引分娩と帝王切開は医師の判断により決定されます。

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      自己費用を抑える方法がある

      出産費用 いくらこのように妊娠・出産費用は高額ですが、公的機関のサポートで補填できます。ここからは自己費用を抑える各種サポートについて解説していきましょう。

      妊婦健診費の助成

      母体と赤ちゃんの健康管理のため、妊婦検診は妊娠期間中に最低でも計14回の妊婦健診を受けることが厚生労働省により推奨されています。

      しかし、妊婦健診1回当たりの費用は5,000~1万円と高額。しかも、妊娠は病気ではないため、医療保険が適用されず全額自己負担です。

      そのため各市町村では、妊婦一人あたりにつき全国平均で107,792円分の妊婦健診費用を補助しています

      妊娠届出時に自治体から約14回分の受診券や補助券を受け取り、健診時に医療機関の窓口に提出することで差額が請求されます。自治体と提携した医療機関のみで利用可能です。

      出典:厚生労働省「子ども・子育て関連法における妊婦健診の位置付け」
      出典:厚生労働省「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」

      出産育児一時金

      出産育児一時金とは、分娩費や入院費など、出産費用の一定額を負担してもらえる医療保険制度の一つです。

      支給金額は全妊婦一律で、原則50万円(2024年度現在)。支給対象者は医療保険の加入者本人もしくは、その扶養者です。

      出産育児一時金として給付される50万円のうち、48.8万円が妊婦に支給され、残り1.2万円は病院側に支給されます。

      申請方法は「直接支払制度」と「受取代理制度」の2種類があり、分娩する医療機関によって、どちらを利用できるのかが異なります。

      規模が大きい病院の多くは「直接支払制度」の利用が可能で、妊婦に代わって病院側が支給手続きを行ってくれます。

      一方で、小規模な医療機関の場合は、病院側の負担を軽減するため「受取代理制度」を採用しているケースがあります。その場合は妊婦が自分で申請手続きを行う必要があり、手続き期間は「出産予定日の2ヵ月前~出産予定日」の間です。

      いずれにせよ、妊婦側は出産費用としてまとまったお金を自分で用意する必要はありません。なぜなら、退院時に産院から請求される料金は「出産費用の総額」と「出産育児一時金」の差額だからです。

      出産育児一時金の支払いは妊婦の口座を通らず、医療保険組合から直接、医療機関に支払いが行われます。

      また、出産育児一時金よりも出産費用のほうが安かった場合は、その差額を妊婦側がもらうことができます。そのお金は退院時に病院から支払ってもらえます。

      出典:厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」
      出典:公益社団法人日本医療機能評価機構「産科医療補償制度 制度の仕組み」
      出典:厚生労働省「出産育児一時金について」

      出産手当金

      出産手当金とは、会社員の女性が妊娠・出産で会社を休んだ場合に、加入している健康保険組合から給付してもらえるお金です。

      1日当たりの標準報酬額*の2/3に相当するお金を、休んだ日数分もらえます。ただし、上限日数があり、出産日以前42日間+出産日の翌日以後56日間分。つまり、妊娠期間と産後合わせて計98日分が支給されます。

      先述の出産育児一時金と違い、出産手当金は加入者本人が妊娠・出産した場合にのみ、給付してもらうことができます。そのため、扶養に入っている妻の妊娠・出産の場合は、出産手当金の給付対象外です。

      また、会社員ではない自営業者などが加入する国民健康保険に、出産手当金制度はありません。

      *標準報酬:基本給、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当など。1日当たりの標準報酬額は月額÷30日で計算されます。

      出典:厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト 出産手当金」
      出典:全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」

      出産・子育て応援事業

      出産・子育て応援事業は、全妊婦を対象に、各自治体から10万円相当のギフトを支給してもらえる厚生労働省の政策です。

      妊娠期間と産後期間の2回に分けて、5万円ずつ支給されます。

      <申請タイミング>
      出産応援ギフト:自治体に妊娠届を提出時
      子育て応援ギフト:出生届の提出から乳児家庭全戸訪問までの間

      そのサービス内容やギフト形式は、自治体によりさまざま。例えば、

      東京都の場合は独自で子育て応援ギフトに+5万円を上乗せして、計15万円相当の支給を行っています。

      また、支給形式はカード式で、記載されている二次元コードから専用のWebサイトにアクセスすることでポイントが付与される仕組み。そのポイントを使って、ギフトカタログのように希望の育児用品や支援サービスに申し込むことが可能です。

      神奈川県横浜市では、10万円が現金支給されています(2024年度時点)。

      出産・子育て応援ギフトの目的は、妊婦や産後ママが感じやすい孤立感や不安感の軽減です。こうした経済的な支援をきっかけに、相談機関へアクセスしやすい環境を整えることが狙い。

      もし妊娠・出産で悩みを抱えている方がいれば、ギフトの受け取り時に相談窓口を利用してみるとよいでしょう。

      出典:厚生労働省「出産・子育て応援交付金の概要について」
      出典:東京都福祉局「東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファースト~」
      出典:横浜市「出産・子育て応援事業(国の出産・子育て応援給付金)」

      高額療養費制度

      高額医療費制度とは、1ヵ月間(同月の1日~末日)の医療費の自己負担額が、上限金額を超えた場合に、超えた分が払い戻しされる制度です。

      1回の受診で上限金額に満たない場合でも、複数回の受診分や別の医療機関での受診分、同じ健康保険に加入している扶養者分も合算した金額で申請できます。

      ただし、65歳未満の場合は、1回あたりの窓口負担額が2万1,000円以上でなければ合算対象となりません。また、自己負担金額の上限は、年齢や所得により異なります。

      ちなみに過去12ヵ月のうち3回以上、上限金額に達した場合は、4回目の申請から上限金額が引き下げられます。そのため負担がさらに軽減される仕組みです。

      申請は加入している医療保険へ。受診後、支給申請書を提出または郵送すれば約3ヵ月以上後に指定の口座に支払いが行われます。

      もし事前にまとまったお金が必要な場合は、高額医療費“貸付”制度も利用できます。この制度では、高額療養費制度の支給予定額8割相当を無利子で貸付してもらえます。

      出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
      出典:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」

      医療費控除

      医療費控除とは、その年の所得税を税務署が計算する際に、自己負担した医療費を所得から差し引いて計算してもらえる制度です。ただし、支払った医療費の合計が10万円を超えなければ医療費控除の対象になりません。

      自分の医療費の他に、生計を共にする配偶者や親族の医療費分も含めることができます。所得税が低くなる分、支出が減ることで、家計が助かる仕組みです。

      医療費控除額は、最高で200万円まで。医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告期間に、医療費控除欄に必要事項を記載のうえ、お住まいの地域の税務署に提出しましょう。

      出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

      出産費用の内訳

      出産費用 いくら

      出産費用を抑える方法について解説してきましたが、具体的に出産費用の内訳はどうなっているのでしょうか。公的機関のデータを参考にご案内します。

      出産費用の内訳

      公益社団法人国民健康保険中央会の調査によれば、出産費用の内訳は以下の通りです。

      単位(円)

      項目 平均値 中央値
      妊婦合計負担額 505,759 493,400
      入院日数 6 6
      入院料 112,726 102,000
      室料差額 16,580 0
      分娩料 254,180 250,000
      新生児管理保育料 50,621 51,500
      検査・薬剤料 13,124 10,000
      処置・手当料 14,563 5,560
      産科医療補償制度* 15,881 16,000
      その他 28,085 18,440


      分娩料が最も高く
      、続いて入院料新生児管理保育料の金額が大きいことが読み取れます。

      ちなみに、妊婦合計負担額の平均値が505,759万円と、厚生労働省発表の数値より高いのは、室料差額分が含まれているからです。

      室料差額とは、4~6人の大部屋ではなく、個室など少人数部屋の利用を希望した場合に特別料金として発生するお金です。病院側の都合で少人数部屋への移動を相談された場合は、室料差額は発生しません。

      (*)産科医療補償制度:分娩の際に脳性麻痺を発症したお子さんのご家族の負担を軽減するための保険制度。各分娩機関が任意で加入し、お産1件ごとに1万2千円の掛け金を医療機関側が運営組織に支払っています。産科医療補償制度に加入している分娩機関で出産すると、出産費用として掛け金が請求されますが、出産育児一時金として支給されるため、妊婦側の負担は実質0円です。

      出典:公益社団法人国民健康保険中央会「出産費用の全国平均値、中央値(様式1~4)」

      出産なび

      出産なびは、厚生労働省が運営する出産施設の検索サイトです。各医療機関の出産費用の総額や医療サービスの特徴を確認できます。

      以下の条件で絞り込み検索が可能。

      ・都道府県、市区町村
      ・出産施設の種類
      ・付帯サービス(母子同室、個室あり、立ち合い出産、無痛分娩あり)
      ・医療施設の設備(土・日・祝の外来受付あり、駐車場あり)
      ・出産後の健診
      ・助産ケア
      ・授乳支援

      出典:厚生労働省「出産なび」

      まとめ

      出産費用 まとめ高額なお金が必要な妊娠・出産ですが、さまざまなサポート制度があることをご案内しました。

      例えば、14回程度の妊婦健診費用も自治体から補助金が出ますし、分娩時にかかる出産費用も出産育児一時金で補填できます。

      とはいえ、ママノワの調査では、支給された金額に「満足していない」という声が40%、「どちらともいえない」が28%でした。

      ママたちが安心して出産できるような制度整備を期待しつつ、パートナーと相談しながら事前準備を行い、少しでも不安を軽減したうえで妊娠・出産期間をお過ごしくださいね。

      【調査名】妊娠したらもらえるお金についてのアンケ―ト調査
      【調査方法】インターネット調査
      【調査期間】2024年4月25日~2024年4月30日
      【対象者】子育て世代/全国
      【調査元】ママノワ

       

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