育児休業についてのアンケート調査を子育て中のママたちに実施しました。
その結果、約7割のママが育休を取得した経験があることがわかりました。その一方で、育休を取得しなかった・取得できなかったママたちがいることも明らかになりました。
この記事では育休を取得しなかったママたちに着目。ママたちが育休を取得しなかった理由について教えてもらいました。
さらにはママたちが考える理想の育休制度について聞いてみました。
育休取得は約7割!育休を取得しないママも
出典:ママノワ「育休に関するアンケ―ト調査」2023.12月
子どもを持つママたちに育児休業制度を利用したことがあるかを尋ねてみたところ、約7割のママたちが育休取得の経験がありました。
その一方で、約26%のママが育休を取得したことがないこともわかりました。
Q.育休を取得したことがありますか?
1位 | ある | 73.2% |
2位 | ない | 25.6% |
育休取得者の約2割は10ヵ月未満
次に、育休を取得したママたちに、取得した育休の期間について質問。その結果、最短で「2日」、最長で「約4年」と、育休取得日数にはかなりのバラつきがありました。
年単位で育休を取るママもいる中、約2割のママは10ヵ月未満で職場復帰していました。
Q:育休取得日数はどれくらいですか?
- 産休に引き続き4カ月程度
- 60日
- 3ヵ月
- 2日
- 5日!!
- 1ヵ月間
育休制度を利用しなかった理由「誰も利用していなかったから」
ここからは育休を取得しなかった約26%のママたちに注目してみました。
育休制度を利用しなかった理由について質問したところ、
「勤務先に育休制度がなかった」
「当時は非正規雇用だったため、育休が取得できなかった」
育休制度を利用したくてもできない環境にあったことがうかがえます。
このほか、勤務先に育休制度があった場合でも、
「育休が取れる雰囲気ではなかった」
「会社の人員を考えると、穴を空けて他の社員さんに迷惑をかけられなかった。
他の社員さんの仕事が増えた分、給与が増えるのならよいですが、生かさず殺さずで疲弊させるだけのシステムなので、できないですね」
ママ自身が育休取得を望んでいても利用しづらい環境にあったことも理由のようです。
ママたちの育休改善策の提案とおすすめ
アンケート調査の結果、せっかく育休制度があっても思い通りに取得することが叶わない事情がある人がいることも見えてきました。
希望する全ての人が育休を取得できる社会になれば、仕事をしながら子どもを産み育てやすい環境につながることでしょう。
育休を取得しすくするためにはどのようにすべきか、ママたちから意見を募りました。ママたちから寄せられたさまざまな声をご紹介します。
どの企業も当たり前に育休が取得できるように
先にご紹介したように、育休を取得したママも、何割かは子どもが1歳になる前に復職をしています。
と、希望者がみんな育休取得ができるようにしてほしい!と希望する声があがりました。
また、「男性が育休をとりやすい環境づくりをしてほしい」と、ママだけでなくパパの育休取得に対する願いもあります。
2023年4月に「育児休業取得状況の公表の義務化」がされ、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、男性の育児休業等の取得状況を年に1回公表することが義務づけられました。
男性の育休取得状況を公表することで、ママだけでなくパパも育休を取りやすくなる環境に一歩近づいたと言えそうです。
しかし、対象となるのは「従業員が1,000人以上」であるため、現時点では中小企業は対象外。パパの育休取得が当たり前である社会の実現は、残念ながらもう少し先のことになるのかもしれません。
どんな雇用形態でも取得できるような仕組みに
正社員ではないために育休を利用できなかったというママもいます。
どのような雇用形態でも育休が取れるようにしてほしいという希望がありました。
正規雇用・非正規雇用に関わらず、希望する人が育休を取得することができるようになれば、ママたちの働き方の選択肢も広がることでしょう。
育休退園はなくしてほしい
育休を取得すると既に保育園に通っている上の子どもが保育園を退園しなければならないというケースもあります。自治体によって条件に違いがあることも問題だとしています。
実際に保育園の退園を回避するために育休取得を諦めたママもいました。
ワンオペで複数の子どものお世話や家事をするのは不可能だと嘆く声もあります。そのため、産後は早々に仕事に復帰せざるを得ないママもいました。
育休中に保育園に入園できる制度に
スムーズに職場復帰ができるよう、「公立の保育園・こども園の待機児童0」を挙げるママは多くいました。
育休中からに子どもを保育園に入園させることができれば、ママ自身も職場復帰のための時間を確保が可能に。安心して復職することができそうです。
慣らし保育中の育休延長
前項と似ていますが、子供が慣らし保育を終えるまでは育休を延長できたらいいのにという声もありました。
慣らし保育中は保育園で子どもを預かってくれる時間が短いため、出産前と同じように働くことが難しいからです。
また、赤ちゃんが生まれたタイミングによっては公平さが感じられないことも、慣らし保育中の育休延長を希望する理由のひとつ。
仕事復帰後に子供の熱などで有休が足りなくなりそうだった。慣らし保育中のみ育休延長できる制度があったら良いのにと感じた。
下旬生まれの子供や他の月生まれの子供は育休中に慣らし保育ができるのに不公平だと感じた
子どもの誕生日に関わらず、育休中に慣らし保育ができたら助かると考えるママもいました。
職場に補助金を出すべき
育休を取りやすくするためには、周りへの配慮が形になる制度が必要だと考えるママもいました。
休暇は休暇なので、勤務している人と同じなわけがないし、育休で減員し、忙しくなった職場にこそ、何か補助があるべきだと思います。
しわ寄せがきている現場(会社の同僚)は、政治家や制度設計に係る人が考えてる以上に殺伐としています
ママやパパへのサポートだけでなく、育休による欠員が発生する職場への補助金があったらよいと提案。
また、「育休明けにすぐ退職する方は、給付金の返還をさせるべきだと思います」という声もありました。育休取得は権利ではあるとはいえ、周囲のサポートがあって成り立つもの。大事にすべき意見かもしれません。
育休中も給料を10割にしてほしい
赤ちゃんの誕生を機に出費が増えることから、収入面が気になるママは多くいました。
また、ママとパパが同時期に育休を取得して子育てを楽しみたいと考える家庭もあるものの、2人揃って収入が減ることを考えると育休取得に踏み切れないという事情もあるようです。
育休中の金銭面の不安が払しょくされれば、育休取得に前向きになれる家庭が増えそうです。
その他
これまでにご紹介したママたちによる育休制度改善案のほかにも、少数ながらも寄せられたママたちの声をピックアップします。
復職のタイミングを一律に定めるのではなく、臨機応変に対応してほしいという要望がありました。
育休を取得して仕事はお休みしていても、子育てや家事に追われているために遊んでいるわけではないというママの叫びです。
法律で定められた「育児休業」とは異なり、「育児休暇」は働く親をサポートするための会社の制度です。ママにとってメリットである制度ではあるものの、「休暇」というワードが持つイメージと育休中の生活の実態に乖離があることに違和感をもっているようです。
最後に、育休中であってもときには子どもと離れてママひとりの時間を持ちたいという声もありました。
育休を取得することで仕事はお休みできても、家事や母親業をお休みする機会を確保するのはむずかしいからです。
まとめ
今回のアンケート結果から、ママたちの育休事情が見えてきました。
育児休業制度が浸透しつつありますが、育休の期間が短縮されたり、育休を取得せずに産後すぐに復職、育休を利用することが叶わずに退職したママがいることもわかりました。
育休を必要としているママたちのためには、「大手企業だけでなく中小企業でも1年間の育休取得を可能に」してほしい、「雇用形態に関わらず育休が取得できる仕組みが必要」だとママたちはおすすめしています。
また、「職場への補助金」があれば、ママたちも気兼ねすることなく育休を取得することがでるという貴重な意見もありました。
さらに、「育休退園の撤廃」「育休中の保育園入園」「慣らし保育中の育休延長」と、育休制度をよりよくするための具体的なおすすめもありました。
ママたちが赤ちゃんを出産しやすく、より仕事も子育てもしやすい環境ができるよう、それぞれの問題点が改善されることを願います。