「PTAはいらない」という意見が聞こえてくる中、各都道府県のPTA協議会から脱退する小学校も出ています。
たとえば東京都PTA協議会は、2023年に全国組織「公益社団法人日本PTA全国協議会」を退会し、独自運営を始めました。
やはりPTA団体は、いらない組織なのでしょうか?子育て中のママノワユーザーへのアンケート調査を元にPTAについての考えや、意見をご紹介します。
PTAは必要ない活動なのか?
それでは、どれくらいのママたちがPTAをいらないと考えているのでしょうか。アンケート調査の結果をご紹介しましょう。
まず「PTAは必要だと思いますか?」という質問に対し、必要だと「思う」と回答したママは39%、必要だと「思わない」と回答したママは61%でした。
また「PTA役員・委員についてどう思うか」と質問したところ、83%のママが「やりたくない」という意見でした。
ただし「PTA役員・委員を経験してよかったですか?」という質問に対する意見は半々でした。
やってみたら意外と良かったと感じている人もいるようです。
PTAがいらない理由
続いてアンケート調査をもとに、PTAをいらないと思う理由トップ3をご紹介しましょう。
活動の目的がわからない
PTAの活動の目的が見失われ、PTA組織に意味を感じられないママが多数いました。PTA活動の目的と原点については、後半で後述します。
正直なんの為に活動しているのか全く分かりませんでした。役員をやっているママさん達は何を目標にやっているのか分かりませんでした。
皆さんグループになって、同じ役員の他のママさんの悪口を言っている人も多々いたので何の集まりなのか意味不明でした(30代ママ)
さまざまな保護者が加入するPTA組織では、価値観などの違いから意見が対立することがあります。
せめて任期期間だけは子どもたちのためにと建設的な話し合いができればよいのですが、そう簡単にはいかないのが人間の感情です。
悪口が集会の主な話題になってしまったら役員さんの時間も無駄ですし、周囲の保護者も悩みますよね。
保護者は学校の関係者である以前に一人の子どもの親です。PTA組織に加入する本来の動機は「自分の」子どものため。家族との時間にまでPTA活動が侵食してしまったら、元も子もありません。
役員の任期期間が終わり次第、退会したいと思う保護者がいるのかもしれません。
人間関係が煩わしい
人間関係の悩みは、PTAを退会したくなる大きな要因となることもあります。さまざまな人と仕事をする意味では企業も同じですが、企業理念に共感して集まる社員同士よりPTAの人間関係は難しい一面があります。
PTAに参加する保護者たちは、共通点が多いとはいえない十人十色の集団です。PTA活動に対する意見や取り組み方も違えば、子育ての方針も異なり、先生や保護者との関わり方やライフスタイルまで家庭それぞれです。
その結果、価値観が合わない保護者とのやり取りで余計なストレスが溜まる人もいるようです。
対面なら相づちや表情などで相手の意見が読めますが、LINEでは発言がないと何を考えているのかわかりません。既読スルーされると不安になりますよね。
ただ、既読スルーをする人はトラブルを警戒して、意見を文章として残すことを避けている人もいるかもしれません。SNSで簡単にシェアされてしまう時代だからこそ慎重になる気持ちもわかりますね。
仕事の進め方も責任感も保護者によって違います。チームで行う仕事は相手に合わせないといけないことも多いため、ストレスが溜まることもありますよね。
意見したくても、悪口を恐れてグッとこらえているママもいるでしょう。
非効率でムダが多い
PTAの仕事は昔からのやり方が踏襲される傾向があり、非効率でムダな仕事が多いと感じることも。
しかし、役員や委員の任期期間は1年のため、業務改善をするような余裕がないため、非効率なままになっているケースもあるかもしれません。
仕事を整理して効率化するためには、学校や保護者とさまざまな調整が必要です。会員全体の意見をアンケートで募集しなければならないこともあるでしょう。
一方で、さらに無駄な仕事を増やしてしまうタイプの保護者さんもいるようです。
なるべく効率的に仕事を削って皆で楽にやりましょうという流れが多いです。
まだまだ「仲良くなりたい」「コミュニケーションを深めたいと集まりを増やしたがる」「子どもたちのためと言って無駄に仕事を増やしてしまう」ような保護者もいるため、周りの保護者がストレスを抱える状況も起こります(30代ママ)
あれこれ献身的に気が利くお母さんほど、さまざまな提案をしてくれる場合があります。しかし、それが別の役員さんの仕事を増やしてしまったり、決定したことを覆していることもあるようです。
トラブルを避けるため提案に仕方なく乗ってしまい…。というのが保護者同士の関係ではよくあることです。
こうした事態を防ぐために、行事ごとにボランティアを募集したり、外注サービスに頼むべきという意見も多々見られました。
PTA活動が必要だと思う賛成派の意見
このようにPTA組織をいらないと思う保護者もいる一方で、PTAに必要性を感じている保護者もいます。その理由は以下の通りです。
もう少し具体的に意見を見ていきましょう。例えば、登校班の管理はボランティアの募集だけでは、なかなか維持することが難しいPTA活動の一つです。
学校への登下校ルートの中には、危険箇所もたくさんあります。実際に登下校中に亡くなった子どものニュースは、メディアサイトで途絶えることはありません。
しかし、先生たちは学校運営や子供たちの教育だけでも忙しいため、地域社会の隅々にまで配慮を行き届かせることは困難です。PTA活動として強制的に運営されるからこそ旗当番の人員を確保でき、子供たちの安全が維持されます。
他にも、保護者の意見をまとめて学校や教員に伝える役割を期待する意見も挙がっていました。
実際に、メディアサイトで取り上げられるような学校の不祥事に巻き込まれる可能性もゼロではありません。
その場合、学校説明会なども開催されますが、保護者からさまざまな意見が出て収拾がつかない可能性があります。さらに、そうした場で発言できる保護者の意見が多数派とも限りません。
そんなときはPTA会長主導で保護者アンケートを募集し、学校に対する要望の優先順位をつけることが可能です。
他にも運動会などの行事・イベントの手伝いや、地域との協力面でPTAのメリットを感じている保護者がいました。
PTAの目的と原点を確認しましょう
そもそもPTAの目的は、子どもたちの健全な成長を図ること。そのために教員と保護者が話し合い、その意見を学校運営に反映しつつ、教育活動を支援することが仕事です。
また、学校外での生活指導や地域社会の教育環境の改善も、PTAが担う部分。
役員・委員への参加も任意で「子どもたちのために、できる人が、できるとき(期間)に、できることをする」ことが活動の原点です。
さらにPTA団体への加入は、強制ではなく、PTA本部が会員を募集し、賛同した保護者だけが会費を払って入会する「任意」形式。
しかし、こうした目的や原点が見失われ、時代遅れの仕事だけが注目されPTA活動に意味を見出せない保護者もいるのかもしれません。
では、どうしたらよいのか…、先輩ママたちの声を聞いてみましょう。
PTAのいらない仕事を変える
今のままのPTAはいらない!という人もいるようでうすが、仕事の内容や方法は変えることができます。PTA活動のやり方は、別に踏襲する必要はないのです。
PTAの全国組織も時代に合ったPTA活動を推奨しており、PRを始めています。そして実際に多くの学校も変化し始めているようです。
ママたちの事例を確認していきましょう。
出典:一般社団法人全国PTA連絡協議会「PTA活動の必要性とは? PTA活動の目的は?」
保護者の行動から変革は始まる
まずはこのように意見を言ってみることからPTA組織の改革は始まるのかもしれません。時代に合わせてPTAを変えようとする保護者が現れれば、賛同してくれる会員も出ることと思います。
保護者たちは皆、仕事や家庭のことで忙しく、PTA活動に意見はあっても行動にうつすパワーがないだけかも。学校側も保護者に意見しにくかったり、子どもたちの教育で余裕がないだけでしょう。
実際に私が変えたという人もいます。
短い任期期間の中でも、誰かが声を上げれば改善できることがありそうです。
PTA活動の効率化
それでは具体的にPTA活動をどう変えればよいのでしょうか。
まずは現状整理を行い、PTA活動を効率化して負担を減らすことをおすすめします。効率化のポイントとしては「仕事内容」「集会の回数と連絡手段」「役員の選出方法」といった観点があるでしょう。
実際にアンケート調査では以下の事例が挙がっていました。
▼「仕事内容」の効率化事例
▼「集会の回数と連絡手段」の効率化事例
▼「役員の選出方法」の効率化事例
PTA活動の柔軟性
小学校入学と同時に強制入会・強制参加のイメージが強いPTA活動ですが、本来は入会自体が任意です。PTA本部が目的や活動内容をPRしたうえで会員を募集し、会費を徴収するのが正しい流れ。
PTA組織を柔軟性のある団体に変えられたら、本質的な仕事だけが残り、あとはボランティアで対応できそうです。実際に、半強制的だった加入や役員・委員への参加が任意になったという学校もありました。
保護者の中には、子どもたちの学校での様子を確認するために、行事やイベントのお手伝いを自らしたいという方がいます。
PTA役員という形で一定の期間しばりつけなくても、ボランティアの随時募集で十分に支援者が集まりそうです。
PTA活動のIT化
PTA活動のアナログな部分をIT化するだけでも、無駄な仕事を減らすことができます。まずは関係者が少ない役員間のやり取りなら、IT化に取り掛かりやすいでしょう。
例えば、連絡手段をメールからLINEに変えることは、今の時代の基本です。「オープンチャット」ならLINEで友だちにならなくてもトークができます。
話し合いもオンラインに変えれば、働いている人も会社を休まずに済みますね。
教育のIT化が進む今なら、学校が利用しているツールをPTA活動にも利用させてもらえます。
中には、資料をアプリで配信したり、保護者アンケートの募集をGoogleフォームで行っているPTA組織もあります。資料印刷が不要になり、SDGsにもつながるでしょう。
まとめ
PTAがいらないと言われる理由は、活動の目的が見失われ、非効率な仕事が多く、人間関係が煩わしい点にありました。
とはいえ、PTA役員や委員の任期期間は1年と短いため、業務改善する余裕がないままやり過ごされてきたのが現実です。
しかし、時代の変化と共に疑問の声が高まり、PTAのあり方が見直されるようになってきました。小学校入学と共に自動的に入会し、教材と共に会費が口座振替で徴収されていた時代から、任意であることが強調される時代に。
今後は本来の目的に沿った本質的な活動だけが残り、PTAがもっとスマートな組織になるといいですね。
【調査方法】インターネット調査
【調査期間】2024年3月29日~2024年4月3日
【対象者】子育て中の女性/全国
【調査元】ママノワ
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