デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.10

diagoval.10

      <前回までのあらすじ>
      昨年より挑戦中のママと双子の、デアゴスティーニの『おしえて!おしゃべりガイコツ』。人体模型を組み立てながら、からだの構造だけでなく、からだのしくみ、病気や治療の最前線、人間の能力などまで網羅する、『おしえて!おしゃべりガイコツ』の奥深さを知るママであった…。

      双子9歳、思春期のはじまりであることを母は知る

      上半身固定パーツから骨をとりはずして、 50号のふろく「仙骨・尾骨」を椎骨のでっぱりにはめます。 できました。コブラの頭みたいです また上半身固定パーツに取り付けます。おおお!なんか、雰囲気出てきた
      ママ
      さあ、記念すべき50号のテーマは『男女のからだ』です
      息子
      オレのチン毛第一号はいつ生えてくるか予想しようスペシャルやろ?
      そんなんスペシャルちゃうし
      ママ
      静かに。君たちがホネッキーの組み立てを始めたころ、まだ8歳だったけど、気がついたらもう9歳になっている。9歳といえば性ホルモンがさかんに作られ始める時期なのです。もしかするとチン毛第一号とファーストミーティングする日もそう遠くはないかもしれないんです!
      なんか嫌やー
      息子
      イエェー!! 性ホルモン!!
      あーもう、腹立つ、うるさい
      ママ
      むだにイライラする、腹が立つのも思春期の兆候かもしれませんな
      息子
      思春期って中2ぐらいからと思ってたんだけど、9歳からだったとはな
      ママ
      私も実は心の問題だと思ってました、思春期
      ちゃうで。体に変化があらわれるんやで、保健体育でやったもん
      ママ
      具体的にどんな変化が現れるのかというと、男は、ひげが生える、のどぼとけが出てくる、肩幅が広くなる、体毛が濃くなる
      息子
      そしてチン毛が生える
      ママ
      そんなに楽しみにしているなら説明しよう。君の大事なおちんちんは、おしっこを出すためだけでなく、精子を女性の体に送り込んで子孫を残すための、大事な器官なのだ
      息子
      わー。(小3の理解のキャパシティを越えた様子)
      それたぶん4年生の保健の時間でやるから、今はいいよ、今は
      ママ
      あかん。今、説明しとく
      じゃあその前に、女の人の体は思春期からどうなるのか、説明してからにして
      ママ
      そうでした、女性の場合は、丸みのある体つきになる、乳房が大きくなる、腰回りが広くなる、体毛が生える、などなど。あと初潮もくるね。いわゆる生理が
      なんか嫌やー
      ママ
      ま、めんどくさいことが増えるのは事実だけど、強い子孫を残すためには、男と女という、特徴の違う者どうしが協力したほうがいい、というわけだよ
      息子
      オレ知ってる。セッ○○やろ
      ママ
      その言葉どこで聞いたん?
      息子
      通学班で5年生が大声で言いながら歩いとった

      学校の保健体育で、男女の性行為について説明があるのは小学4年生らしいが、兄や姉がいる友達から伝達され、おおまかに察するのは小学2~3年生からのようだ。思えば自分が小学生の頃もそうだった。大阪から埼玉に転校してきた男子が、みんなに男女の性行為について話してくれたけど、それを聞いた私は衝撃を受け、「ウソだ、ウソにちがいない」と思った。あのころ、「おしゃべりガイコツ」のような楽しい教材があれば、……けっこうすんなり納得できたにちがいない。

       

      息子が持つ“コンジキに輝くボール”は非常に大切なもの

      ママ
      人間というのは男の人の精子と女の人の卵子が合体することによって、受精卵という卵ができ、その卵が女の人のお腹の中で成長して赤ちゃんとして生まれてくるわけだけど
      息子
      ちんちんが精子を作っとんのやろ
      ママ
      ノー。精子を作っているのは精巣というところです。精子は高温に弱く、35度よりも高い温度の中では作ることができません。そのため、精巣を『陰のう』というふくろに入れて、からだの外に出して、冷やしているのです。だから、男性は生殖器が外に出ているのです(おしゃべりガイコツの冊子より)
      息子
      陰のうって、きんたまのこと?
      『コンジキに輝くボールなら持っている』
      ママ
      それ、サンドイッチマンのゴルフのネタでしょ
      息子
      そうか、コンジキに輝くボールで精子を冷やしてたんやな、オレ
      ママ
      お父さんが40度以上の高熱を出して入院したとき、お父さんの友達から、『とにかくたまを冷やせ』っていうメールがきたのよ。あれは、そういうことだったのか。おしゃべりガイコツのおかげで今、解決したyo!
      それよりー、女の人の卵子は、高温に弱くないの?
      ママ
      そういうことになるね。卵子を作る卵巣は、お腹の中にあるものね。そもそも卵子は精子にくらべてものすごく大きいんだよね、長さは0.1ミリくらい
      だからきっと強いんだ
      ママ
      頑丈そうだよね。それにくらべて精子は長さ0.05ミリ、その長さもほとんどべん毛だからね。
      ちっっさ!
      ママ
      しかも、精子が一日に1億個つくられているのに対して、卵子は28日で1個だから!卵子は、お腹の右と左、ふたつある卵巣のうち、どちらか一方からしか排卵されないから!
      息子
      1日に1億と、28日で1個って…。なんかひどくね?
      卵子の値打ち!(ドヤ顔)
      ママ
      そのひとつの卵子をめがけて、1億の精子が競争するわけですよ。卵管というトンネルを通って競争するんだけど、トンネルは途中で分かれ道があって、右か左か、どっちに卵子がいるかわからないから、ここでまず、賭けなわけよ。そのあとも、川をさかのぼる鮭みたいに、逆流、逆境をあがっていって、先にたどりついた、たったひとつの精子だけが、卵子の内側に入れるのです
      息子
      サバイバルすぎやろ~
      実力だけではあかんのや、運がなければ
      ママ
      まるで福男えらびですな
      息子
      福男よりすげぇだろ、神やろ、神

       

      1億分の2で勝ち抜いた二卵性の双子なのだ!!

      ママ
      最初に卵子にたどりついた1個の精子が、頭についている酵素で卵子のまわりの膜をとかして、卵子の中に入る。すると、卵子は体をかたくして、ほかの精子が入れないようにするんです
      息子
      その勝った1個以外の、約1億人のオレたちはどうなるん?
      ママ
      卵子と合体できなかった精子は死にます
      ご愁傷さまです
      ママ
      ま、君たち双子の場合、お母さんがたまたま2個の卵子を排卵したとき、それぞれに1個ずつ、計2個の精子が合体し生き残ったわけだよ。これを二卵性の双子と言います
      息子
      2位のオレも助かったんやな、よかったー
      どっちが2位なの
      息子
      いや、もしかして右と左に分かれてそれぞれの1位かもしれんで
      ママ
      そういうことかもしれないね
      私たち、よく小さいころ聞かれたよね。一卵性? 二卵性?って
      息子
      オレら二卵性やろ
      ママ
      うん。一卵性は、受精卵一個から、細胞分裂のときにコピーができて、二つになるから、そっくりな赤ちゃんになります。でも、二卵性は、二つの卵子にそれぞれ精子が合体しただけだから、似ている度合いは、きょうだいとかわらないんだよね
      私らの場合、姉と弟が同時に生まれてきたって感じやね
      息子
      卵の状態から、どうやって赤ちゃんになるん?
      ママ
      受精した卵子は、卵管を通って子宮へ向かいます。向かいながら、細胞分裂して、たくさんの小さな細胞の集まりになる。そして受精から約7日後ぐらいに、子宮の壁にくっつきます。これを着床(ちゃくしょう)と言います。着床してから、魚みたいな形から始まって、だんだんに赤ちゃんの形になっていくんだよねー
      そのとき、大きさどれくらい?
      ママ
      0.1ミリくらいかな
      息子
      ちっさ
      じゃあ、そのころはまだ、お母さんのお腹は大きくないんや
      ママ
      お母さんのお腹は、人によるけど、5ヵ月ぐらいまでは、見た目あんまり変わらないよ。5ヵ月経つと、なんとなくお腹のなかでにゅるにゅる、ムツゴロウが動いている感じがして、それからだんだんにゅるにゅるが強くなっていって、お腹も大きくなって、赤ちゃんもどんどん大きくなって、お腹の壁をがんがん蹴るようになるわけ。お母さんのからだから栄養や酸素をもらい、子宮の中で成長を続け、約9ヵ月後には身長50センチになるというわけ
      息子
      神やな
      ママ
      お母さんがね

      ヒトの受精卵は、母体の中で40億年の進化をたったの40週で再現しながら成長すると言われている(ザ・神秘!)。なので、卵の状態から発生するときの形は、みんな小さなお魚みたいな形をしているのだ。

       

      さらし木綿の腹帯は、双子妊娠中のママの神アイテム

      双子がお腹の中にいたとき、やせっぽちだった私の腹回りは1メートルを越えた。机の前にすわると、出ている腹が邪魔をして、パソコンを打つのも、ごはんを食べるのも、手を思いっきりのばさないと無理だった。

      当然ながら、骨盤の開きぐあいも半端ではなく、歩くのもグラグラ、グラグラして、こりゃまずいなーと思っていたところ、百戦錬磨の助産師さんから「腹帯は骨盤に巻け」というアドバイスがあったのである。

      助産師さんいわく、昔ながらのさらし木綿がもっとも使いやすい、しかも通常は半幅に折って腹に巻くところを、三つ折りにして骨盤にきゅっと巻くのが良いと。その通りにやってみたところ、ゆるんでいたネジが締まったように動きやすく、とっても楽ちんだった。しかもこの方法で骨盤を適度に締めていたため、産後の体型の戻りも早かった。あなどるまじ、さらし木綿。

      そんなことを思い出しつつホネッキーの骨盤パーツを組み立てる。

      骨盤パーツを合体させてます。骨盤は右と左にあるので両方やります

      骨盤終了。さあ、いよいよ内臓を骨組の中に入れますよ~!

      まず左右の肺を肋骨の中へ入れます 次に内臓合体パーツをさしこみますと… 生物です さらに食道を取り付けます スタンドを組み立てて、ホネッキー胴体を差し込みます 後ろ姿。首の穴をネジ止めします ネジ止め完了。ドヤ!

       

      クマノミは生まれたときは全員オス、これ常識!!

      ねーねー 恒例の動物ネタいこうよ
      ママ
      はーい。じゃあお魚のオスメスシリーズね
      言っとくけど、クマノミはもう知ってるからね
      息子
      お父さんがお母さんになるやつやろ
      ママ
      そう。クマノミは生まれたとき全員オスで、いちばん大きく育ったオスがメスに変身して、2番目に大きいオスとつがいになります
      基本やろ
      ママ
      じゃあ、逆に生まれたときに全員がメスであるお魚知ってる?
      息子・娘
      知らない
      ママ
      ホンソメワケベラ
      ああ、海にもぐるといっぱいいるやつか
      息子
      かわいいやつな
      ママ
      あの子たちは全員メスで、いちばん大きく育った子がオスになるシステム
      どちらのシステムも、いちばん大きく育った者だけが、異性になれるってことだね

      「寝かしつけも命がけやで」ママ友の言葉が蘇る

      さて、52号は「あかちゃんのふしぎ」、53号は「遺伝」と、人間の誕生にかかわるテーマが続く。赤ちゃんが生まれてから一年までの間にできるようになることなどが、絵とともに解説されており、「だよね、だよね」と読みながら、うちの双子が赤ちゃんだったころの記憶も蘇るのだった。
      双子が生後2ヵ月の頃。ママ友のひとりが、顔面にプロテクターを装着した写真をメール添付してきたことがあった(その頃はまだLINEというものがなかった)。
      我が子を添い寝でトントンして寝かしつけていたら自分が先に眠ってしまい、寝返りを打った赤ちゃんの足が「かかと落とし」の恰好で顔面に強打。鼻骨骨折してしまったというのである。
      その写メールには「寝かしつけも命がけやで」という文が添えられていた(カッコいい…)。

      うちの双子も、5ヵ月をすぎるとそれまで一枚の布団に横一列で寝ていたのが、寝返りを打って四方八方に転がるようになり、気がつけば布団からはみ出て畳の上をごろごろと転がり、ふすまへ到達。例の「かかと落とし」の要領でふすまをがんがん蹴るようになった。
      ふすまがドンドンという音が鳴るのが面白いらしく、きゃっきゃっと喜んでは蹴りを繰り返す。二人だけにそのふるまいが二倍というより二乗になるのだった。

      しばらくして、息子がはらばいで腕のみで進むほふく前進を始めた。ネットで調べると「ずりばい」とある。少し怖いことも書いてあった(ネットの見すぎはよくないですよね、とくに赤ちゃんの発達関係、病気関係)。腕力が強く、どこまでも行けてしまったせいで、足を使うということが思いつかないのだと自分に言いきかせ、見守った。

      その横で娘は四つん這いになり、ゆらゆらと前後に揺れながら、静かに刃物を研ぐように運感覚に磨きをかけていた。そして突然、完璧でうつくしい「はいはい」を始めたのである。私はうれしくて拍手するのと同時に、「息子は大丈夫か」と心配になった。
      息子が、その手があったかと「はいはい」をし始めたのは、それからひと月も後のこと。同じ日に生まれ同じ環境で育っているのに、「はいはい」をはじめるのがひと月もずれるなどと、思いもしなかったから、かなり、気をもんだ。

      結局、「はいはい」どころか、体格も、性質も、発達のスピードも、双子なのにまったく違うのだった。それは遺伝子の組み合わせのちがいがなせる技なのだと、今なら冷静に考えられる。
      そして、ホネッキーを組み立てて、『おしえて! おしゃべりガイコツ』の冊子で一緒に学びながら、「あ あれはこういうことだったのか」と、腑に落ちることの連続である。
      ホネッキー組み立ての時間は、新生児の子育てに必死だった自分と、生存競争のサバイバルを経験してきた双子を、「よくやったな」と言祝ぐ、そんな時間でもあるのだった。

       

      <つづく>

       

      岡田桃子

      埼玉育ち、大阪在住。9歳男女の双子の母。無類の犬好きで、著書に『白い番犬チルー』(幻冬舎)などがあるが、未熟児で生まれたわが子たちの発育過程を目の当たりにし、人体の神秘にも感銘を受ける。その育児エピソードは、たるいしまこさんの絵と中村翔子さんの作で、『おはなしカイとナツ あるふたごちゃんのものがたり』(リーブル)という絵本になっている。年中無休自営業のすき間に、週一で剣道をするのが何よりの発散。

       

      デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.1

      デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.2

      デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.3

      デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.4

      デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.5

      デアゴスティーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.6

      デアゴステイーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.7

      デアゴステイーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.8

      デアゴステイーニの人体模型を双子と一緒に最後まで作ってみた~!vol.9

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